
MIZUKI MORI
#4 3D Printable Material
2018/04/25 ~ 2018/05/08
課題:素材の特性をわかりやすく比較できるようなモデルを作成し、それを複数のフィラメントで出力し実際に比較してみる。(比較できる内容:出力パラメータ、必要時間、精度、強度、重量、経年変化、対候性、耐久性など)
・5種類以上のフィラメント(それぞれの材料について利用例などのリサーチを行う)
・造形物の後処理をする
・比較した結果を表・グラフの形わかりやすくまとめてくる。

今回は6つのフィラメントを http://3dfs.idarts.co.jp/ で購入。
右から、
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高耐熱性PLAフィラメント『APLA:白』
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ガラス強化PLA『Glass Filled PLA』
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絹質感ECOフィラメント『Biome3D:ナチュラル』
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ビール原料フィラメント『Buzzed』
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珈琲原料フィラメント『Wound Up』
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軽量&高品質フィラメント『ProMatte:黒』


高耐熱性PLAフィラメント『APLA:白』

Advanced PLA(APLA)は、高耐熱グレードPLAから生成されたフィラメントで、熱処理工程を経たABSよりも高い耐熱性を有している。従来のPLAフィラメントを凌駕する高性能PLAフィラメントAPLAは、低臭で反りの少ない高精細な造形を可能にする。また、3Dプリント後の造型物は「アニール処理※」することで最大強度を発揮。
※アニール処理とは、樹脂が冷却する過程で生じる内部の歪みを加熱し取り除く熱処理工程。
ガラス強化PLA『Glass Filled PLA』

Glass Filled PLAは、PLAにガラス素材を配合することで、従来のPLAフィラメントよりも強度と耐衝撃性を向上させている。
一般的なPLAフィラメントよりも、1.4倍強い引張強度、1.3倍の衝撃靱性、1.9倍の柔軟性(PLAよりも3.4%の伸び率)を実現している。
絹質感ECOフィラメント『Biome3D:ナチュラル』

Biome3Dは、生分解性バイオ原料を元に生成される材料で、絹のような滑らかな質感と仕上がりが特徴のフィラメント。
不快な臭いを発することもなく、割れや反り、収縮の変化による歪みなどが少ない優れた3Dプリントを可能にしている。
ビール原料フィラメント『Buzzed』

メジャーレーベルの醸造所から得た副産物(廃棄物)を原料にしたPLA混合材料で、ビール特有の黄金色と原料である穀物の風合いを残したフィラメントとなっている。
3D-Fuelの材料は、c2renew社が開発する循環可能なバイオ原料から生成されており、安全性が高くエコロジカルな素材。
珈琲原料フィラメント『Wound Up』

廃棄珈琲(自然穀物)の副産物として生まれたコーヒー原料の3Dプリント用フィラメントです。このフィラメ ントは、色や香りも珈琲そのもの。
3D-Fuelの材料は、c2renew社が開発する循環可能なバイオ原料から生成されており、安全性が高くエコロジカルな素材。
軽量&高品質フィラメント『ProMatte:黒』

ProMatteは、PLA系フィラメントでありながら、PLAの弱点である耐久性を克服した高性能フィラメントで、従来のPLAフィラメントよりも30%の軽量化を実現。
また、ProMatteは積層跡を軽減した仕上がりを実現しており、研磨材による後処理加工にも対応。
研磨処理された表面は、滑らかなマット質感の仕上がりとなる。
制作 5/3
コップを作ろうと思い、thingiverseから面白そうなデザインのコップを取ってきた。
同じコップが、素材の特徴を生かした入れ物に変身すればいいと思った。

データに問題ないか、確認で一応メディアの3Dプリンタで出してみる。
データに問題はなさそう。

再びPLAで出すが、今回はMUTOHで出した。結局MUTOHを使うのだから、MUTOHでPLAが出せなかったら、購入したフィラメントはいうまでもなくうまく行くはずがないと思ったのだ。
Makerbotでうまく行ったしPLAだか大丈夫だろうと思ったが、最後の方なんか失敗した。クソ。

これは単にノズルを物体から離すのが遅かったから焦げたのかなと思う。でもそうしたら、上の
ここで、自分は何故コップを作っているのかを考えた。このコップでどのようなパラメータでどういう機能を比較するのか。なんの為にコップを作っているのか。素材を生かす、というよりかはちゃんと数値で見えるようなパラメータで比較した方がいいと思った。
ここで、犬のおもちゃで弾力、跳ね返り、犬がおもちゃに示す興味、硬さ、軽さ等を比較しようと思った。
コップを作るのをやめ、犬のおもちゃを作る方向に変えた。



Thingiverseで作った人たちによると、サポーター無し推奨だったので、サポーター無しで出力。温度や速度の設定もその通りにやったものの、失敗。

設定を微妙に変えても失敗。
失敗の写真は3枚しかないが、本当はもっと失敗している。ほとんど、ラフトは綺麗にできるが、途中で玉になってしまうのだ。

この形がやっぱだめだと悟った。違うおもちゃにしよう。モデルを変えよう。

骨だったらできるかも、そう思った。
曲線を扱うので、自分の技量と残された時間でRhinoでは綺麗にできないと思ったので、Sculptrisに挑戦。




記念すべき初Sculptris。
まずは色々できることを試してみてから、骨を作った。
球体を左右に伸ばしてから、後から玉を4つ追加した。
途中でものすごく卑猥な形になった。

卑猥な形を綺麗に骨っぽくするのに苦労した。
Flattenが意外と使える。
テクスチャもつけた。
ゴツゴツしたイメージ。
Paint > 🔘Enable > NEW > (Image of choice) > 普通にブラシのようにテクスチャを物体につける

今日一番綺麗に出来たもの。
でもヒビが入ってしまった…。モデル上くっついているように見えたが実際は孤立した物体として認識されてしまったのだろうか。
ラフトはめっちゃ綺麗。
ただただ卑猥なものができただけな気がする。
サポーターつけたので裏が汚い。(右下の写真)


なんか別に骨の形じゃなくてもいい気がする。
ということで、また作るものを変える。
今まではどちらかというと、出力したもので計れるものを探す、という感じだったが、今回は作るものの条件を先に明白にしてから作ることにした。最初からそうすればよかったけど手を動かして作ってみてやっぱ条件を明白にしてからの方が良かったと気づいた。
条件:
-
パラメーターは数値ではかれて、客観的なデータにできるもの
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その形でないといけないもの
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素材によって変化が出るもの
制作 5/4
コップや犬のおもちゃの硬さを叩いた時の音程(Hz)で硬さを定義しようかと思っていたので、その発想からクラリネットのリードを作ろうと思った。
条件も満たしている。
-
パラメーターは数値ではかれて、客観的なデータにできるもの
楽器吹いた時の音程 -
その形でないといけないもの
リードには決まった形がある。 -
素材によって変化が出るもの
リードは葦(ヨシまたはアシ)で出来ているが、同じ葦でも種類によっては変わる。そもそも木材は不均一でばらつきがある。
口に入れるものなので、ABSは使わないことにした。
実は最近流行りでプラスチック製のリードもあったりする。リードは個体差が激しいので、当たりと外れがある。物によるがリード10枚で1箱、1箱3000円以上、プラスチックのは1枚が1箱分の金額(3000円以上)。普通のリードの寿命は1~2週間なので、プラスチックのが合えばコスパ最強。けどプラスチックのが合わなかったらどうしよう、という思いでなかなか踏み出せない。プロの演奏者も木の方がいいとおっしゃる方々が多い。
というわけで、リード作れたら最強だなと。物は試し。

そもそもリードってなに〜の人のために。
リードは木管楽器のマウスピース(口つけるところ)につける木の板のこと。息を吹いてリードを振動させることによって音を出すのだ。

こんな関係がある。



私がいつも使っているのは Vandoren の Traditional の
3 1/2 と 同じく Vandoren の V21の 3 1/2。

2種類のリードをThingiverse からデータを取ってきて、Rhinoで少しだけ寸法をいじる。
黒:https://www.thingiverse.com/thing:2864973
赤:https://www.thingiverse.com/thing:46980
Simplifyではスライスできたのだが、MUTOHでデータが現れなかった。
赤い方の薄さは0.10mmだから薄スギィなのか、無理ない。ということで黒の方だけ出力。黒の方は0.5mmだからギリギリかな、後処理で削って薄くする。
PLA
実際のリードと比べてみた。
左から、本物、2回目、3回目、4回目に出力したものである。

表

裏

横

見方:
黒文字の Printing temperature, printing speed, layer height, heat bed はメーカー推奨設定で、赤文字は実際の設定
total…全体で何回目の出力かを示す数字
total (/filament)…そのフィラメントでは何回目の出力かを示す数字。
totalの数字の背景に色がついていて、それらは出力結果を示している。
灰…出力できず。
赤…出力自体はできたが失敗
黄…出力はできた。可。もっといいのできる気がする。
緑…成功
青文字…前の設定と変わらないことを示す
赤文字…前の設定と変わったことを示す
other での変更は再び赤文字で変更が記入されていない限り、設定が継続されるということである
例) 1回目は brim 有りだったが、2回目以降は brim なし
APLA




Glass filled PLA






Biome 3D




制作 5/5
Wound Up (Coffee filled filament)







くっついて取れなくなってしまったラフト。
なんだか繊維っぽい。

Buzzed (Beer filament)






ProMatte




Glass filled filament (Revenge)



後処理 5/6

音が出るかどうか試し吹きするが、全く出ず。極限の薄さにする。
光にかざしてみた。
PLA

APLA

Glass filled PLA

Biome 3D

Buzzed (beer filament)

Wound Up (coffee filament)

ProMatte

薄さ







PLA
少し削りにくかった。
APLA
削りにくかった。
Glass filled filament
削った感覚:
なんかザラザラしていた
硬くて全然削れなかった
Biome3D
非常に削りやすかった。
今回削った中で1位2位争う薄さまで薄くできた。
Wound Up
(Coffee filled filament)
非常に削りやすかった。これも今回削った中で1位2位争う薄さまで薄くできた。
Buzzed (Beer filament)
なんか熱が加えたら粘土みたいになった。
ProMatte
今回削った中で1位2位争う薄さまで薄くできた。また、infillがしっかりしているにで隙間や穴はあまりできなかった。
仕上げ比較
PLA

APLA

Glass filled filament

Biome 3D

Wound Up (coffee filament)

Buzzed (beer filament)

ProMatte

試し吹き 5/8
APLA, Glass filled filament, Buzzedは、硬すぎ、厚すぎ等の理由で、リードには不向きであり、楽器につけて試し吹きしてもリードは振動せず、息が通り抜け るだけだったので動画には出さなかった。
勝者はProMatte

リードは繊細なもので、先端が重要。制作した中で1回目のProMatteのリードのinfillが一番しっかりしていたので、今回はこいつが勝者となった。


反省:
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プラスチック製のリードと比べればよかった(高くて買えなかった)
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珈琲はもっと探れば芳香がかき消されない
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先端や穴があるので他もそれさえ直せば音は出た説
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録音した音の周波数をグラフィックにまとめればより良かった
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PLAは人間に植物性の樹脂なので大丈夫かと思っていたが、PLAでも食品対応と書かれていないのはやはりまずいらしい…