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#5 3D Scanning

2018/05/08 ~ 2018/05/15

課題(1):研究室ウェブサイト用の自分の3Dデータをスキャン等で用意してくる(メッシュ数5000)

課題(2):自由研究
“「スキャン技術」の創造的な使い方”をひとつ開拓せよ。
ただし安全性は極限まで配慮して、危険なことや他人に迷惑をかけること、法に触れるようなことは絶対にやらないこと。

課題1

Senseで友だちに撮ってもらいました。​

​キモォ…

MeshLabでメッシュ数を減らす。(104,749 → 5,000)

Remeshing, simplification and reconstruction」> Simplification: Quadric Edge Collapse Decimation > Target number of faces 

課題2

スキャン技術をアートを表現する新たなツールの一つとして提案する。

​今回は私が一番好きなシュルレアリスムで挑戦。

3D Surrealism

​シュルレアリスムといえば以下の三つの絵画が有名でしょう。

左から、記憶の固執 / The Persistence of  Memory (サルバドール・ダリ)、白紙委任状 / The Blanc Signature (ルネ・マグリット)、人の子 / The Son of Man (ルネ・マグリット)

芸術活動としてのシュルレアリスムは、シュルレアリスム宣言が発せられた1924年から始まった。

シュルレアリスムは絵画から始まり、時代とともに発展していった。現代ではAnimation や Photoshop等の技術をを用いた作品も多い。

Animation

3D Surrealistic animation created by Oliver Latta.

(http://www.extraweg.com/) 

Photoshop

​今回は3Dスキャンでどのような作品ができるか試す。

が、せっかく3Dスキャンするのだから、モデリングしにくいものをスキャンしようと思う。となると自然のものが最適かと思った。

そこで今回スキャンするのは:

  • ブロッコリー

  • えのき

  • ​ゴーヤ

  • バナナ(開いた状態)

  • 林檎

  • キャベツ(1/2または1/4に切られたもの)

 

魚や貝も考えたが入手できなかったので断念、また機会があればスキャンしたい。

​スーパーで買ってきてとりあえずSenseでスキャンする。

撮影方法

ゴーヤ、えのき、ブロッコリーは上の写真のように立て、物体の周りを一周回って撮影。

360度欲しかったのでめちゃくちゃ時間かかった。ブロッコリーは写真撮り忘れた。

その他のものは普通にテーブルに置いて撮影。林檎は一周した。

ブロッコリー

360度ちゃんとあります。

えのき

360度ちゃんとあります。

ゴーヤ

思っていたよりもSenseではテクスチャが出なかった…。CT Scan ならもっと上手くできたはず。嫌いなので買うのに抵抗あった。

300度くらいある。

バナナ(皮)

​普段からバナナを食べているので今日はスキャンしてから食す、ということを忘れてしまったため、皮だけが残された…。

​キャベツ

同じく思っていたよりもSenseではテクスチャが出なかったしCT Scan ならもっと上手くできたはず。断面しか必要なかったので画像で見えてる面しかなく、Soildでもない。

​キモスギィ…(バナナの皮)

SenseでEditしているとき、自動修正(レンガマークのやつ)を押したらこうなった笑笑

​何かに使えると思い、これはこれで残しておいた。形がキモすぎる

林檎

​ルネ・マグリットの作品によく林檎が出てくるので一応林檎をスキャンしてみることに。林檎好きなので買うのに抵抗はなかった。

デペイズマン

意外な組み合わせをおこなうことによって、受け手を驚かせ、途方にくれさせる (dépayser) というもの。

​左から、共同発明(ルネ・マグリット)、旅の思い出(ルネ・マグリット)、贈り物(マン・レイ)

シュルレアリスムといえばデペイズマン。今回は主にこの技法を探求していく。

1. 素材のデペイズマン

​ゴーヤを Sculptris に import してみるものの、テクスチャはまったく出ず。ただの物体。なんか卑猥…。

​ということで、林檎のデータを import し、ゴーヤのテクスチャの画像をネットから拾ってきて、白黒に編集して林檎にテクスチャを paint した。​

​旅の思い出(ルネ・マグリット)参照。

2. ただのデペイズマン①

自分のスキャンデータは Sculptris に入れられなかったので Rhino に import

Box を作って MeshBooleanSplit で頭と下のいらない部分をちょん切る。

MeshLabメッシュ数をいじってから ply を obj に変換(最初はsculptris に入れたかったのでobj)。

同じくBox を作って MeshBooleanSplit でブロッコリーの底を綺麗に平らにする。

​体の部分とくっつける(少し練り込ませた)。

3. ただのデペイズマン②

​えのきで同じこと。

4. コラージュ
コラージュ

ありとあらゆる性質とロジックのばらばらの素材(新聞の切り抜き、壁紙、書類、雑多な物体など)を組み合わせることで、例えば壁画のような造形作品を構成する芸術的な創作技法。

 

​一語一女一鳥(マックス・エルンスト)

ブロッコリー、えのき、ゴーヤ、林檎、バナナの皮(キモい方)を組み合わせて作った。

​キング・カモ

鴨池にいそう。(いないよと田中先生に速攻でツッコミされたが…)

5. ただのデペイズマン③

なんとなく不完全燃焼だったので再び。

今度はルネ・マグリットの「陵辱」を recreate

友達にむきむきマッチョがくんがいるので本当は彼の美bodyをスキャンしたかったのだが、彼が今増量中で若干ムチムチなのと単に予定が合わなかったので今回は断念。

Thingiverseで筋肉を入手。

こんな感じで box と MeshBooleanSplit で上半身の欲しい部分を切り取る。

​この絵面シンプルに草

成功。これを、自分のスキャンデータと合わせる。

自分のスキャンデータ。ザビエルポーズの指のてっぺんから下がいらないので、これも切り取る。しかし、今回は半分出ているので MeshBooleanDifferenceで。

​完成。

6. ただのデペイズマン④

なんか足が残ったので足も使ってみる。

​ブロッコリーとえのきをつけてみる。

7. ただのデペイズマン⑤

​ブロッコリーをつけてみた。

8. ただのデペイズマン⑥

なんか余ってしまった。

林檎をつけてみた。

完全一致

まとめ​

シュルレアリスムは無意識、夢、偶然などを重視しているため、シュルレアリスムで取られるオートマティスム(自動筆記)やデペイズマンコラージュなど偶然性を利用し主観を排除した技法や手法を用いることが多い。

シュルレアリスムは2つにわかれる。

  1. 夢や無意識下でしか起こりえない奇妙な世界が描かれることが多いが、彼らの絵の中に出てくる人物や風景はあくまで具象的

  2. 自意識が介在できない状況下で絵画を描くことで、無意識の世界を表現しようとする。彼らの絵画は具象的な形態がなくさまざまな記号的イメージにあふれ、抽象画に近づいてゆくことになる

オートマティズムを例に挙げると、オートマティズムは簡単に言えばただひたすら書く、という技法であり、書いていくうちにどんどんスピードが上がり、書き手は次第に何かに支配されたような、狂気に似たようなものを味わうことになる。要は、無意識になる。書かれた内容も次第に抽象的になっていくのだ。

私も何かに夢中になるとオートマティズムで得られる狂気のようなものは度々感じることがある。今回探求したのはデペイズマンとコラージュだが、作業を通して無意識な狂気は得られるのかを検証。

結果、夢中にはなる。手を動かしていれば限られた素材と限られた時間でのアイデアは無限に出てくる。しかし、果たしてそれが狂気なのか、少しわからないところである。

​シュルレアリスムは奥深い。

優美な死骸

「優美な死骸」という、複数の人がお互いの作るものを知らずに作品のパーツを作って最後に合体させる技法があるが、今回は断念した。複数人必要で人の協力を得ないといけなかったので、みんな時間なさそうだから断念したのである。そこで思いついたのが、複数人の自分で優美な死骸をやるということ。しかし、一つのパーツを作ってしまったら、前に自分が何を作ったか覚えているというか知っているはずなので、優美な死骸の技法による作品ではなくなる。それぞれのパーツを知らないことが最重要である。一人の人間でそれをやるには、無意識に作品のそれぞれのパーツを作り、さらに何を作ったかいちいち忘れないといけない。非常に難しい。しかも本来は違う人間が作るので、一人でやるならば "違う自分" を何人か探していちいち引き出さなければならない。本当の多重人格にならなければならない。これをどうやるのだろうか…。興味深いのである。

反省

  • CT Scan を使えばもっと面白い作品ができたと思う

  • 魚介類をスキャンしたい

  • 3Dプリンタで出力したかった

  • Rhino で いじった後、obj で export して sculptris で smoothen. これをやればよかった。そしたら出力しやすいデータになれたかも

Feedback

  • つなぎ目を綺麗にするとよりよかった

  • ​メッシュ数を同じにした方がよかったのでは

  • 出力してみるといい。新たな技術的な発見や課題が見つかるかも

  • 3Dならではの表現が足りない、また機会があればCT Scanで内部を見てそれを用いて作品を作るといい

【21世紀の微鬱について考える

田中先生が本気のコメントをくださいました。

​アートは、新たな発見や時代背景によるもの(技法)が多い(宗教・政治・文化・戦争など)。となると、21世紀の美術とは何か、というのを考える必要がある。過去の技法を知らないと何も始まらないし、模倣は過去の技法を知るのには効果的だが、21世紀の美術を考えることで本当のアーティストになる。例を挙げると、3Dでしかできないことやテクノロジーでしかできないことなど

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